パリ・オペラ座公演を終えて





 平成19年3月20日より4月1日まで、パリ・オペラ座松竹大歌舞伎公演のため、フランスへ行ってまいりました。今回の劇場は1785年に創立されたオペラ・ガルニエ。前回のシャイヨ宮での公演を見ていたオペラ座芸術監督ブリジット・ルフェーブル氏が招聘してくださり、初のオペラ座歌舞伎公演となりました。
 今回の演目は「勧進帳」・「口上」・「紅葉狩」で、私は「勧進帳」・「紅葉狩」に出演しました。
 オペラ座の舞台に立ってまず驚いたことは、舞台に傾斜があるということでした。話によると創立当時、背景の奥行を出すために5度の傾斜を付けたとのこと。でも所作台の上は殆ど傾斜を感じませんでした。(大道具さんは大変だったようです)音の鳴りは思っていたよりかなりデッドで返りも殆どありませんでした。しかし、舞台稽古時客席で聞いてみると、1階正面・2階サイド・5階奥のどこで聞いてもほぼ同じ音質・音量で聞こえ、特に声の明瞭さはさすがオペラ座だと感じました。舞台は間口10間(歌舞伎座が約15間)ですから、あまり大きな劇場とは言えません。ただ、高さが7間(歌舞伎座は約3間半)もあり、とても不思議な感覚でした。当たり前ですが、花道はなくオーケストラピットをせり上げして本舞台より1段低い舞台を作り、そこを花道にしていました。舞台稽古時に芸術監督より照明が明るすぎるとの指摘があり、歌舞伎座より約50%落とされました。やはり慣れていないせいか、かなり暗く感じました。
 公演4日目にオペラ座の方の案内で、オペラ座見学をしました。まず、創立当時の図面の説明をしていただき、天井の見学、オペラ座の怪人が住んでいるといわれた地下水槽、奈落、ロビーや客席のシャガールの絵やシャンデリアなどを見てきました。特に奈落は木の歯車など昔の雰囲気が残っていて、面白かったです。一番見たかった地下水槽は想像していたものとはかなり違いました。今は防火槽として使われていて、1年に1回舟を浮かべて点検するそうです。
 公演は夜が4回、昼が1回。休演日が2日ありましたので、観光する時間もありました。公演日の午前中は美術館(ルーブル、オルセー、オランジェリー)や市内観光をしてきました。平日の朝ということもあり、どの美術館もゆっくりと見学することが出来ました。休演日のうち1日はヴェルサイユ宮殿へ。その日は雨が強く、庭園をゆっくり見学することができませんでした。また有名な「鏡の画廊」も改装中で残念でした。もう1日はずっと行きたかったモン・サン・ミッシェルへ行ってきました。到着したときは好い天気でしたが、次第に霧が立ちこめてきてとても幻想的でした。ちなみに、昼食は名物のオムレツを食べましたが味はイマイチでした。
 今回の公演を終えて、このような貴重な経験が出来たことを嬉しく思いました。訪仏前は様々な不安がありましたが、稽古を重ね無事千秋楽を終え帰国することが出来ました。このような機会を与えてくださった、今藤政太郎師に感謝しております。ここでの経験を活かし、今後も芸道に励んで参りたいと思います。

弥佑

夜のオペラ座

楽屋の様子

良き先輩、今藤 政之祐さんと

舞台の様子

舞台から見た客席

シャガールの絵画とシャンデリア

ルーブル美術館の前で

オルセー美術館

セーヌ川の流れ

凱旋門から見たエッフェル塔

モン・サン・ミッシェル

夜のパリ市内

創立当時の図面

舞台裏の雰囲気

奈落に浮かぶ歯車

オペラ座の怪人が住んでいるといわれる地下水槽

出演者揃って

千秋楽が終わってホッと一息




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