喜三久先生講習会「勧進帳」





勧進帳の秘密

 三月六日、早春のうららかな日曜の午後、杵家会館で行われた、堅田喜三久先生のお囃子の講習会に参加させていただきました。
 今回の題材の「勧進帳」は、数ある長唄の中で、いつの時代にも人気ナンバーワン。変化物でもなく、きれいな女性が出て来るわけでもない、この演目が二百年近くも人々に愛され続けるのはなぜなのか。壇上の喜三久先生は、軽快な語り口で、時に三味線をつま弾きながら、そのヒミツを教えてくださいました。
 <ヒミツその1・自然さ>
 メロディーの流れに無理がなく、とても覚えやすい曲であること。喜三久先生は、譜面は見たことはないが、聞き覚えで、三味線を弾けてしまうとおっしゃっていました。
 <ヒミツその2・イレギュラーさ>
 お囃子の通常の型からはずれているところや、三味線とお囃子の手数が合わないなど、イレギュラーな部分が随所にあるとのこと。ところが、そこを通常の形に修正すると、かえって違和感が出てしまうのだそうです。
 <ヒミツその3・巧みな演出>
 一時間に及ぶお芝居の中、太鼓は一撥も打たず、鼓、大鼓、笛だけで演奏するのだそうです。そして、最後の「飛び去り」で、太鼓が加わり一気に盛り上げる。勧進帳には、観客を惹きつける、そんな大胆な演出が仕掛けられているのだそうです。
 ほかにも、たくさんの事を教えて下さいました。喜三久先生のお話はとてもわかりやすく、楽しくて、勧進帳がますます好きになりました。ありがとうございました。

本部 七可鷺




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