Q3 長唄に関する質問なのですが、「娘道成寺」の歌舞伎中継をいくつか見ていて気がついたのですが、まりうたの合いの手の部分は替手の演奏がそれぞれに違っているように思えるのですが、この部分の演奏は奏者のアドリブで行われるものなのでしょうか?それから、文化譜の娘道成寺ではこのまりうたの合いの手の部分がカットされている様ですがどうしてでしょうか?(松山市 Y.Nさん)

ご指摘の通り、あの部分は奏者(立三味線)のアドリブにより演奏されます。
長唄にはこの様なアドリブの部分が多くあり、特に道成寺のように立三味線が踊り手の振りと合わせて即興で演奏する部分をタマと呼んでいます。
タマはその都度踊りに合わせて演奏するわけですから、一人の演奏家が弾いても、まったく同じ曲は二度と演奏できません。
他に有名なタマとして、吉原雀や二人椀久の踊り地などがあります。
CDなどの演奏が似たものとなっているのは、道成寺の舞踊の振りが各流でほぼ共通しているためで、その振りのイメージに合わせた演奏をするので、同じ様な曲調になるわけです。
歌舞伎では役者が振りのオリジナリティを工夫している事と、奏者も25日間の演奏に変化を持たせるべく色々と工夫しているので、明らかな違いを感じるのかもしれません。
また、その様な理由で、文化譜ではタマの記譜は省略しております。(杵家弥七)